高速道路の受益者負担について

自動車評論家のT氏は、「高速道路の無料化など、古びた制度や理不尽な税
制などをすべて刷新して、日本の車社会を健全なものにしてもらいたい」と言
います。
 T氏は「高速道路の無料化」については、国民のあいだには、「ただでさえ
財政が苦しいのだから、そんなことにお金を使うよりも、もっと大事なことが
あるのではないか」「そもそも高速道路など、一部の人が利用しているに過ぎ
ない」など、様々な異論や疑問、憤りが出てきているのを承知の上で、無料化
自体は正しい方向性だと考えています。
 なぜなら、T氏からすれば、「道路を有料にするということ自体が、圏内に
関所をたくさん設けて関税を取っているのに等しい行為」なのです。そもそも
道路は国家の収益事業ではなく、人の移動を容易にし、物流を活発にし、人々
の福祉や経済の発展を図ることが目的であるべきものなはずです。実際諸外国
では、高速道路を有料にしている国はとても少なく、有料であったとしても日
本の数分の1の金額です。それに対し日本は、単に有料だけではなく、時とし
て燃料代の倍以上の通行料がかかる場合もあるほどです。
 道路料金の話をすると、「受益者負担」の話題にしばしばなります。一般の
ドライバーの中で高速道路を利用している人は1割程度に過ぎないのだから、
彼だが道路建設費を負担するのは当たり前のことではないかと言う考えのこと
です。しかし、ドライバーの多くが高速道路を使わないのは、ひとえにその高
い通行料のせいである場合が多いし、さらに、物流の効率化を考えれば、国民
みんなが高速道路の間接的利用者であり受益者であると言えるのではないでし
ょうか。
もしも、使う使わないを問題にするならば、建設コストの償還を終えている
はずの東名や名神高速道路の利用者が、地方の赤字高速道の建設を負担し続け
るといういまの「料金プール制」自体が、理論的根拠を失うことにもつながり
ます。「受益者負担」であるなら、東名、名神などはとっくの昔に無料になっ
ていておかしくはないし、その一方で、北海道や九州などの高速道路は、料金
を現在の何倍にもしなければならなくなってしますはずです。